導入していないのは考えられない!クラスB滅菌について学ぼう!!
近年、HPや求人広告で、感染管理システムについてふれる歯科医院が増えています。
これは5年前に新聞で、「約7割の歯科医院でタービンの使い回しが行われている」ということについて報道されたことが大きなきっかけではないでしょうか。
新聞にデカデカと、全国に歯医者の裏側がでちゃったわけだから(私は嬉しい。私は大学病院で実習を積んできたわけだけど、個人院の滅菌、消毒の実情を目の辺りにしたとき、私がまだ卒業したての頃は、ほんと、西川きよし師匠の様に、目が見開き、開いた口が塞がりませんでした。笑)、滅菌をしっかりしていなかった歯医者さんは、アタフタしたのではないかと思います。
因みにその記事はこちらです。
この報道をきっかけに、歯科医院の感染管理システムについて不安をもつ患者様や、疑問をもつスタッフは急増。患者様やスタッフが、正しい感染管理が行われている歯科医院で「治療を受けたい」「働きたい」と考えるのは、ごくごく自然なことだと思います。
と、何故、今更私が滅菌について、書こうかと思った理由なんですけれど、数日前に中国の歯科医師の皆様が(すんごい人数で。ここは、テーマパークですか?と思ったくらい!)、病院に見学しにきたわけです。
で、その時、現在私が働いています都内の一等地の某歯科医院では、消毒室もちゃんとあり滅菌も完璧なのですが、中国では、診療室よりも消毒室が大きく一つ一つの作業台がしっかり分かれていて、その過程をクリアしていないと開業出来ないと言っていたんです!
え?って、私は驚きました。
何故なら、現在私が働いていますクリニックには、数多くの中国人の患者様がわざわざ飛行機に乗って、治療の為だけにここ日本、ここ東京に来院してくださってるものですから。
どういうこと?ホわーい?って思ったわけなんです!来てくださってる患者様の話によると、日本の歯科治療は丁寧で清潔!って言われてたわけなんですけれど、もしかしたら、地域によって中国の歯科治療も事情も変わってきているのかもしれませんね。
謎が深い中国。今度機会があれば、中国に行って調べてみたいとも思います。
と、余談が長すぎました。失礼!!!
では、本題。
今回は、そんな滅菌技術に大きく関わる「クラスB滅菌器」について、詳しくお伝えします♪
クラスB滅菌器
そもそも滅菌とは?
滅菌とは、以下のように定義されています。
物質からすべての微生物を殺滅または除去すること
引用:一般社団法人日本医療機器学会『医療現場における滅菌保証のガイドライン 2015』
しかし、滅菌器では、器具の付着物は除去できないため、滅菌前には、対象物から汚染を除去する「洗浄」を行うことが必須です。
と、「洗浄」・「消毒」・「滅菌」の定義なのですが、
•洗浄‥有機物を物理的に除去すること
•消毒‥低水準(結核菌を除いた栄養型細菌、ある種のウィルスおよびある種の真菌を死滅させるレベル)、中水準(多くの結核菌を含む栄養型細菌、全ての真菌および多くのウィルスを死滅させるレベル)、高水準(大量の細菌、芽胞を除いた全ての微生物を死滅させるレベル)
•滅菌‥全ての微生物を殺菌または除去すること
です!
また、
滅菌器の種類について
滅菌器は、滅菌できる製品の構造や種類に応じて、3つあります。
•オートクレーブ‥高圧蒸気滅菌器とも呼ばれている。比較的短時間で滅菌でき、多くの歯科医院で使用されている
•EOGガス滅菌器‥エチレンオキサイドガス(EOG)を使用し滅菌する方法。熱に弱い製品(プラスチック製品、ゴム製品)を対象とする。取り扱いには特定化学物質作業主任者という資格が必要。
•プラズマ滅菌器‥最近注目されている方法。低温、低湿で滅菌できるため、ハンドピースなど劣化を嫌う製品に対して使用する理想的な滅菌器である。しかし、歯科ではまだまだ本体の値段や大きさ、コスト面など問題は多い。
その中でもオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)は、
「クラスN」「クラスS」「クラスB」と3つに分けられます。
それぞれの滅菌器では、どのようなものが滅菌できるのでしょうか?
クラスN(重力置換式)
空気と蒸気の比重を利用する方法で、滅菌パックが使用できないため、器材を保管できません。
未包装の、ミラー、印象用トレー、へーベルといった固形製品の滅菌が可能。滅菌後はただちに使用する必要がある。
クラスS(ポストバキューム式)
高圧蒸気の注入を繰り返す方法です。
滅菌器の製造メーカーが指定した製品の滅菌が可能。この製品には、未包装の固形製品に加え、スポンジやガーゼなどの多孔質な「ポーラス製品」、ハンドピース類が含まれる「中空負荷製品A」、バキュームチップなどが含まれる「中空負荷製品B」、滅菌バッグに入っている「一重/二重/多重包装製品」のうち、少なくともひとつの製品が滅菌可能。
クラスB(プレポストバキューム式)
真空状態を作り出す方法です。
すべての製品の滅菌が可能。
現在一般の歯科医院では、クラスN滅菌器が使用されていることが多いようです。しかし、クラスN滅菌器では、滅菌バッグに入れた製品や、タービンなどの複雑な構造をもつハンドピース類は、完全に滅菌できません。
また、クラスN滅菌器においては、「滅菌後ただちに使用する」とされているため、滅菌状態で保管することもできません。
歯科医院には保管する器具が豊富にあるため、クラスB滅菌器の需要は今後ますます高まると考えられます。
さて、新聞でも問題になりましたハンドピース。
ハンドピース内部まで滅菌が必要な理由
なのですが、
タービンは、回転が停止するときに、ヘッド内に陰圧が生じ、口腔内の唾液や血液、切削片などの汚染物資が内部に吸い込まれます。これを「サックバック現象」といい、最近は、各メーカーのハンドピースにサックバック防止構造が備えられています。
しかし、サックバック防止構造をもつタービンでも、内部吸い込みが確認された事例があり、使用したタービンを内部まで滅菌せずに次の患者に使用すれば、交差感染を引き起こす可能性もゼロではありません。
これは、低速回転のコントラアングルハンドピースでも同様です。そのため、使用したハンドピース類は患者ごとに交換し、滅菌することが強くすすめられています。
クラスB滅菌器の特徴
それでは、クラスB滅菌器にはどのような特徴があるのでしょうか?
*一部クラスS滅菌器にも同様の特徴がある製品があります。
複雑な構造をもつ機器の内部まで滅菌が可能
滅菌は、滅菌物のすべての面に蒸気があたることで確実に行われます。
しかし、滅菌バッグに入った器具や、内部に空洞があるハンドピース類については、中に空気が残留しているため、蒸気が浸透しづらくなってしまいます。
そのため、クラスB滅菌器は、まずチャンバー内を真空状態にし、滅菌バッグ内やタービン内部の空気をすべて除去します。そこに蒸気を送り込むことで、複雑な機器であっても確実な滅菌を可能にしているのです。
•水道水を使用しない
カルシウムや塩素が含まれる水道水を用いると、滅菌器の故障や、滅菌の質に影響するおそれがあります。
そのため、クラスB滅菌器では、精製水や蒸留水または純水を使用する必要があります。
メーカーによっては、浄水カートリッジが付属していたり、給水装置を別売りしていたりと、精製水の購入が不要になる場合もあるようです。
•滅菌時間が短縮される
滅菌器による滅菌は、乾燥の工程を含めると大体1時間前後かかることがほとんどです。しかし、クラスB滅菌器には、さまざまな種類やモードがあり、滅菌から乾燥までを15分〜20分程度で行えるものもあります。
使用頻度が高いハンドピース類などの滅菌にはありがたい機能ですね。
滅菌時間が短縮される
•滅菌時の注意
滅菌工程が終了しても、器具を濡れている状態で取り出すと、すぐに汚染されてしまいます。しっかりと乾燥されていることを確認してから器具を取り出しましょう。
また、滅菌物を詰め込みすぎたり、滅菌バッグを重ねていたりすると、うまく蒸気が行き届きません。
各メーカーから提示されている、滅菌可能な最大総重量を守り、滅菌バッグと滅菌バッグの間には隙間ができるよう、滅菌をかける時間など配慮しながら、滅菌が間に合わない!とならないよう、余裕の心を持って、正しく使用してくださいね♪
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いかがでしたか?
滅菌器にはさまざまな種類があり、滅菌可能な製品もそれぞれ異なります。
患者様やスタッフが安心して過ごせる環境づくりのために、滅菌の知識も身につけましょうね♪
だからこそ、しっかりした滅菌をしていれば、他の医院さんと差別化出来る1つで、人件費も含めコストがかかっている分、意識の高いデンタルIQの高い患者様から、信頼され通ってくださるのではないでしょうか(⁎⁍̴̛ᴗ⁍̴̛⁎)
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