高い!費用が高い!オールセラミッククラウン
オールセラミッククラウンってなに?
オールセラミッククラウンって名前は聞いたことがあるけれど、銀歯に比べて高すぎるし、そもそもよく分からない・・・。そんなアナタの被せ物選びを応援するために、オールセラミッククラウンの長所・短所、種類や相場など、まとめてみました。
こんにちは。マネジメント歯科衛生士の辻村香恵です。
銀歯は良くないからセラミックにしようと思いますが、そもそもオールセラミッククラウンって何??とお思いのあなたにお伝えして参りたいと思います。
セラミックとはジルコニアセラミッククラウンのことで、人工ダイアモンド素材のジルコニアのフレームにセラミックを焼き付けたものです。今まで奥歯等の力が加わり強度が重要視される部分にはメタルボンドを使用していましたが、ジルコニアを使用することで強度の面も問題なく全て白い材料で綺麗な被せ物を作成することができます。オールセラミッククラウンはその名の通り100%セラミックでできており、天然歯に近い色調、透明度を表現することができます。またセラミック、オールセラミッククラウン共に長年使用しても変色することはありません。
天然歯に近い色調や透明度を表現でき、変色も少ない!
<前歯や奥歯にとってはどんなメリットが?>
オールセラミッククラウンは天然歯に近い色合いや透明度を再現できますから、人目につきやすい前歯の治療にはぴったりです。反面、強度に心配があり、奥歯等の力が加わりやすい部分には敬遠されがちでした。しかし、その強度もジルコニアを使用することで改善され、奥歯の治療としても珍しいものではなくなりました。
銀歯とは何が違うのか?
銀歯は保険内の治療のため費用はとても安価で済みます。
しかし、銀歯は使用している金属が溶け出して歯茎にメタルタトゥーが生じる場合があったり、
金属アレルギー症状が出る場合があります。
また、表面をプラスチックで白く焼き付けている場合は変色が起こる場合があります。
といったデメリットがあります。
メタルタトゥーとは?
被せ物や差し歯などに使用されている金属が溶け出し、歯茎を黒く変色させてしまう症状を言います。
オールセラミックの価格相場は??
自費になりますので、値段は歯科医院によって大きくばらつきがありますね。土地によって差が激しいです。
・クラウン(大きな被せ物。全部被せる)
ハイブリッドセラミッククラウン(セラミック素材とプラスチックの混合物)…6万〜8万
オールセラミッククラウン…8万〜10万
CAD/CAM冠(歯科技工士ではなく機械が作成する)の場合:5万〜8万
ジルコニアセラミッククラウン…10万〜15万
・インレー(小さな詰め物)
ハイブリッドインレー(セラミック素材とプラスチックの混合物)…3万〜5万
オールセラミックインレー…3万〜5万
オールセラミックのメリット!!!
①見た目
オールセラミッククラウンであれば自分の歯に最も近い色調、透明度で作成することができます。また、長年使用していても変色することはないのでずっと綺麗な歯の状態を保つことができます。
②虫歯になりにくい
保険内で作成した銀歯を歯にくっつけることを合着と言います。オールセラミッククラウンをくっつけることを接着と言い、使用する接着剤も違います。保険で使用するものはくっつけた歯面と銀歯の隙間から二次カリエスを起こす可能性がありますが、自費で使用する接着剤では歯面とオールセラミックの隙間があまりないため二次カリエスを起こす可能性が少ないです。虫歯になるリスクが減ります。
③メタルタトゥーを避けられる
全てセラミックでできているため、金属が溶ける心配がありません。なので、金属が溶け出すことにより起こる歯茎のメタルタトゥーも起こりません。
④金属アレルギーが避けられる
アレルギー反応はそれまで身体に溜め込んだアレル物質の量が満杯になった時に突然起こります。小さい時から治療で金属を口の中に入れている場合、少しずつ飲食と共に金属イオンが溶け出しています。金属を使用していないオールセラミックにすることで、金属アレルギーを防ぐことができます。
⑤保証が付いている
保険で作成したものが割れたり、取れたりした場合もう一度お金を支払って作り直しになってしまいますが、自費診療であれば保証を設けている歯科医院が大半ですので、もしも割れてしまってももう一度無料で作り直してもらうことができます。(保証を設けている歯科医院の補償内容による、中には保証がないところも。保証がないなんて、私には考えられませんが…)
⑥ガルバニー電流が起きない
金属を使っていないため、異種金属が唾液を介して接触した時に流れる電流が起こる心配がありません。このガルバニー電流が起こると自律神経が乱れ、頭痛や不眠、肩こりが起こりますのでオールセラミックにすることでそれを防ぐことができます。
さて、オールセラミッククラウンのデメリットもお伝えします!
①耐久性
オールセラミッククラウンの場合、全てがセラミックでできています。お茶碗と同じ材質のため強い衝撃が加わると割れてしまいます。噛む力が強い方や歯ぎしり、食いしばりのある方だとすぐに割れてしまう可能性があります。
もしもオールセラミックの耐久性に不安のある方や、強度の必要な奥歯にセラミックを用いたい場合はジルコニアセラミッククラウンもしくはメタルボンドを使用することをお勧めします。後は保証制度を用いてる歯医者をお勧めします。
②費用
オールセラミッククラウンは自費診療になりますので、歯科医院によって費用にばらつきがあります。安いと約2万程度から高いと15万くらいまでかなり差があります。自費診療で後悔しないためには、信頼できる腕のいい歯科医院を探す必要があります。
土台もしっかり考えてください。
神経を抜く処置を行っている歯には歯の中に土台をたてる必要があります。もしも、自費であるオールセラミックを希望するならば、土台も自費での処置を行わなくてはいけないので、被せ物代の他に土台の代金約1万〜1万5千円程度を別に支払わなくてはいけません。
しかし、自費で作成する土台は金属の土台に比べて歯の破折を防いだり、とても良いものになりますので、長い目で歯のことを考えるならおすすめの土台の材質になります。
③歯の変色を隠すのに適さない場合もあります。(担当医に相談して下さい)
もともと歯の変色がある場合(神経がない歯や神経が死んでいる歯)、透明感のあるオールセラミックは表面に色が出てしまいますのであまりおすすめできません。変色のある歯に対してはジルコニアセラミッククラウンやメタルボンドがおすすめです。
オールセラミッククラウンの寿命はどれくらい?
きちんと治療を行い、セルフケアを怠らなければずっと使用することができます。これはオールセラミッククラウンに限らず、保険治療で作った銀歯にも当てはまります。保険治療で作った銀歯であれば約10年もったら良いと言われることもありますが、要はそのひとがどれだけメンテナンスを行っているかで被せ物の寿命は変化します。
オールセラミッククラウンの種類は?それぞれの特徴を簡単にお伝えします。
・エンプレス
今までのセラミックの中で一番強度があり、かつエナメル質に近い軟らかさがあります。
・e.max
審美性と優れた耐久性があります。また、天然歯に近い磨耗性があるので天然歯をセラミックが削ることがありません。
・プロセラ
歯を形成したものを機械で読み取り、データをインターネットで送信すれば技工所でフレームが製造されます。
・セレック
チェアサイドで被せ物を作ることができます。このシステムを利用するには専用の機械が必要なため、導入している歯科医院は少ないですが、このシステムでオールセラミッククラウンを作成すれば、歯型をとったり、技工所での出来上がりを待つ必要もなく1日で被せ物を作成することができます。(歯を削って被せ物をつけるまでだと約90分〜2時間程度要します)
・DECSY(エンジェルクラウン)
単色16色から歯の色を選択することができます。
・インセラム
インセラムのブロックには種類があります。
インセラムスピネ:透明性があり前歯の1本歯に適しています。
インセラムアルミナ:強度があり、金属色も遮断できます。
前臼歯の1本歯から前歯部3本歯のブリッジまで対応可能です。
インセラムジルコニア:透過性はありませんが、強度が強く奥歯にも使用可能です。
・ウォルセラム
特殊な方法で作成するため、適合制度が飛躍的に向上しており、咬むことでの破折を格段に軽減することができます。
オールセラミッククラウンをする時に失敗しないための歯医者さん選びのコツ
①ラボが併設されている歯科医院を選択する。もしくは、ラボとのチーム体制がしっかりしているところを選択する。
良い被せ物を作ってもらうには腕のいい歯科技工士さんに作成してもらうのが一番です。しかし、ほとんどは技工所に歯の模型を送って作成してもらうので患者さんはどの歯科技工士さんが担当したのか、どのくらいの職歴の人なのかもわかりません。ラボが併設されていれば担当の歯科技工士さんに直接被せ物の色や形を相談して作成してもらうことも、簡単な直しであればその日のうちにしてもらえるので、こだわって被せ物をいれたい場合は歯科技工士さんがいる歯科医院、また、歯科技工士さんもチームだと言っている先生を選択することをおすすめします。
②仮歯をきちんと作成してくれる歯科医院を選択する
歯型をとって技工所にだす場合、仮歯の期間があります。その仮歯をきちんと綺麗なものを作成してくれるところは、綺麗な被せ物を作成してくれます。仮歯は削った場所を機能的に補うだけでなく、最終的な被せ物の形状の確認、被せ物を付けるまでの間歯が動かないようにしたり、歯茎の位置が変えないために使用します。その仮歯を適当に作ると、最悪出来上がったオールセラミックが入らなかったり、歯茎と被せ物の間に隙間が生じてしまう可能性があります。仮歯は仮の歯ですが、その仮歯にもきちんと力を入れている歯科医院で治療を受けた方が被せ物も綺麗な仕上がりで保ちもよくなります。
まとめといたしまして、
最後に、オールセラミッククラウンについて重要な点をおさらいしておきましょう。
オールセラミッククラウンのメリット・デメリット
〈メリット〉
・見た目が自然歯のそれに近い
・虫歯になりにくい
・メタルタトゥーになりにくい
・金属アレルギーの心配が要らない
〈デメリット〉
・耐久性に不安が残る
・費用がかさむ
・場合によっては歯の変色を隠すのには適さない
以上になります。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。
より良い治療の選択を。そして、歯医者選びの参考になりましたら幸いです。
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