歯科医が防ぐアルツハイマー。アルツハイマーと歯の関係。あなたはご存知でしたか?

認知症のひとつであるアルツハイマー病。

アルツハイマー病が見つかったのは、今から110年以上も前のこと。
多少進行を遅らせる薬は出てきたものの、いまだにこれといった根本的な治療法はなく、解明されていないことがたくさんあります。

おはようございます。マネジメント歯科衛生士の辻村香恵です。

超高齢社会の日本にとって、今後の高齢者の方が健康であることはとても大切です。
健康長寿で人生を全うして欲しくおもいます。

そこで、今日はアルツハイマーと歯の関係について。

そもそもアルツハイマー病とは?

アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも最も多く、全体の約6割を占める病気です。

認知症とは?

脳は、人間の活動をほとんどコントロールしている司令塔です。それがうまく働かなければ、精神活動も身体活動もスムーズに運ばなくなります。

かつては痴呆症といわれていた「認知症」とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったりしたためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態のことを指すようです。
認知症は病名ではなく、まだ病名が決まっていない“症候群”で、医学的には、まだ診断が決められず、原因もはっきりしていない状態のことを表しています。

祖母も、認知症で大変だった時期を思い出します。

さまざまな研究が進められる中、イギリスの権威ある医学誌の電子版「nature.com」に、「認知症と歯周病が関連している」という論文が発表されました。
いったいどういうことなのでしょう?

■歯周病が認知症の原因になる?
認知症と歯周病の関係を解明するために、歯周病菌に感染させたマウスを使った実験が行われました。その実験では、歯周病にかかると認知症の原因とされているアミロイドβという物質が脳の中で増えて、沈着することが分かったのです。
アミロイドβの沈着までの経路ですが、歯周病にかかると、エンドトキシンという毒素が血流にのって全身を駆け巡ります。やがて、エンドトキシンは脳にも到達し、サイトカインなどの炎症性物質が増加します。そのサイトカインがアミロイドβを増やすのです。このアミロイドβが脳に沈着すると、認知症の発症が早まったり、進行したりします。

今回発表されたのは、歯周病マウスを使った実験の結果、「歯周病とアルツハイマー型認知症の関連が証明された」という論文です。

それに加えて現在、人を対象にした介入試験も行われていて、軽度の認知症の方の歯周病ケアや口腔ケアを行うことで、歯周病と認知症の関連が調べられています。
結果が分かるのは、まだ1年くらい先になりそうです。

■歯周病は万病のもと!
人を対象にした大規模な調査の実施は、莫大な経費がかかるため困難ですが、マウスを使った実験では「アルツハイマー型認知症と歯周病は関係がある」ことが証明されました。

歯周病はアルツハイマー病意外にも心内膜炎(しんないまくえん:心臓の内側の壁や弁が炎症を起こすことによる病気)や脳や肺の膿瘍(のうよう:うみが溜まる)、糖尿病、肺炎、腎臓病などの引き金になることが明らかになっています。
つまり、歯周病は口腔以外の臓器にも影響を及ぼすのです。たとえば、脳膿瘍の場合。
歯周病菌が血流にのって体の中を循環し、その後、脳にうみがたまる病気になるのです。
歯周病は、お口の中の健康だけでなく、その先にある様々な臓器の健康にも影響を及ぼすのですね。
しかも、その病気は糖尿病など命に関わる病気であることが多いのです。そういう意味で、歯周病は万病のもとだといえますね。

■歯の欠損は認知症を引き起こす?!
「歯周病にかかっていると認知症になる、あるいは認知症が悪化する」ことが実験の結果証明されましたが、実は、歯の欠損(歯が抜けている)や柔らかいものしか噛まないことでも認知症のリスクが高まります。
歯がないですから、食物をすり潰すところ(奥歯)が無い。
草食動物で奥歯が沢山ある理由は、沢山噛むためです。繊維がある程噛まないと飲み込めないですからね。

その歯がないと、柔らかいもの、噛まずに飲み込める食物を食べなければならなくなります。

歯を抜いたマウスと流動食だけを食べたマウスを使って実験したところ、脳の中の海馬(かいば)と言われる部分の神経細胞が減少し、認知症になることが判明したのです。食物を噛む機能が弱くなることによって口からの刺激が減り、脳の中の海馬(かいば)と言われる部分の神経細胞が減少して、認知症を発症する可能性があります。

歯周病や歯の欠損、柔らかいものをよく食べる食生活が、認知症のリスクを高める可能性があります。リスクを下げるためには、まず日頃から歯や口腔のケアを行い、歯の定期検診を受けるなど歯周病ケアをすることが大事なのです。

柔らかい食べ物に偏りがちな方は、堅いもの、よく噛むものも食べるように食生活を改めて、お口の咀嚼機能(噛む力)を維持する必要があります。
今からでも遅くはありません。歯科医を訪ねてプロにクリーニングしてもらうのもよいでしょう。

歯の喪失にならないためにもクリーニング、歯科医院への定期検診をお勧めします。
今日も一日、感謝と笑顔で患者様の口腔内のお手伝いをさせて頂きます。

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東京医科歯科大学非常勤講師。 マネジメント歯科衛生士先駆者。パイオニア 。口腔内の健康と美は全身の健康と美に繋がっています。 1人でも多くのきれいになりたい方、口腔内の健康と美にお役に立ちますように…♡ 趣味︰読書、三味線、歯、身体を動かすこと、海

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